静岡大教育学部の塩田研究室(塩田真吾准教授)と一般財団法人LINEみらい財団(東京都)が共同開発した教材を使った授業があなたの静岡新聞に掲載されました。

9月に静岡県内に大きな被害をもたらした台風15号。SNS(交流サイト)では、各地の浸水や河川増水などを知らせる大量の情報が出回った。そんな中、人工知能(AI)で作成された虚偽の画像が拡散し話題になった。情報をいち早く伝達できるSNSは災害時、命を守る行動に役立つ可能性がある一方、誰でも簡単に発信できるため、受け手には各情報の信頼性を見極める力が求められる。

 伊東市の伊東高では11月上旬、生徒が災害時の情報への接し方を学習し、デマやフェイクニュースを見抜く力を養うための「情報防災訓練」の授業が行われた。静岡大教育学部の塩田研究室(塩田真吾准教授)と一般財団法人LINEみらい財団(東京都)が共同開発した教材を使い、定時制2年生が心がけを学んだ。
 訓練は大型台風が接近し、スマートフォンでSNSを使って情報を集めている想定。原裕太教諭(25)の指導の下、スマホの画面を模した複数のカードを用いて進めた。記された情報を拡散するかどうかを判断したり、それぞれの信頼性の高さを比べたりした。
 そこで学習するキーワードは「だいふく」。①誰が②いつ③複数の情報を確認―の頭文字を取った言葉だ。実際に判断に迷う情報に接した場合、それらを思い出すことで適切な行動につなげることができるという。
 情報教育が専門の塩田准教授(41)は「従来の防災訓練では守られる側の児童生徒だが、情報防災ではデマ情報を止めたりする立場にもなり得る。防災や減災への貢献につながる」と訓練の意義を語る。
 インターネットに慣れ親しんだ「デジタルネーティブ」と言われる若い世代は、SNSでの情報収集能力にたけている。災害時、そこで得た正しい情報を拡散できれば有効だろう。一方で虚偽の情報を見抜けずに安易に拡散すれば、現場の混乱を招き、救助側の負担を増やす。ひいては虚偽情報を流した投稿者の行為への加担につながりかねない。
 訓練では「SNSは同じ意見を持った人が集まりやすく、思い込みが生じやすい」という注意点の指摘もあった。普段接している集団だけでなく、より多くの情報に当たり、真実を見極める必要がある。発信する際には自身の行動がもたらす未来を想像し、自らの中でのチェック機能を働かせることが重要だろう。

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